農業収入がある場合失業保険はもらえる?

兼業農家の人がサラリーマンを辞めた場合や、会社勤めを辞めて新たに就農して農業収入を得る場合、失業保険はもらえるのでしょうか。ここでは農業収入と失業保険の関係について説明します。
失業保険とは
失業保険とは、失業した人が安定した生活を送りながら1日でも早く再就職をするための、就職活動を支援するための給付金で、失業手当(基本手当)が正しい名称です。
そのため、就職をする気がない、できない人やすでに就職が決まっている人には支給されません。就職には会社に勤めるだけでなく、会社を開業する、もしくは個人事業主として開業する場合も含まれます。
これらを踏まえて、実際のパターン別に説明していきます。
兼業農家で会社を辞めた場合
会社員の時に雇用保険に加入していた場合、通常次の就職先を探していれば失業手当の支給対象となります。しかし兼業農家の場合は、個人事業主の農家という仕事があります。この場合はどうなるのでしょうか。
原則、個人事業主の場合失業手当は支給されません。しかし農業の仕事が「短期就労または手伝い」であると認められれば、失業手当を受けられることもあります。
農業などを自営したり、家業を手伝っている場合の短期就労または手伝いとして認められるのは下記の4点のポイントがあります。
- 一日の労働時間が4時間未満で、週の労働時間が20時間未満であること
- 一日の労働時間が4時間以上でも、一日当たりの収入額が賃金日額の最低額(令和7年8月1日時点:3,014円)未満であること
- 雇用保険の被保険者でないこと
- 待機期間(失業手当申請から7日間)は業務は行わないこと
ただし上記はアルバイトやボランティアなどを失業期間中に行った場合の基準のため、自営業では認められないこともあります。実際はハローワークでの判断になりますので、失業手当の申請時に確認しましょう。
会社員をやめて就農する場合
会社員をやめてすぐに、個人事業主として農業を始めた場合は就職とみなされるため失業手当は支給されません。
ただし、会社員をやめた後、求職中の間に創業を検討したり、準備を行っている場合には、失業手当を受給できる可能性があります。
個人事業主として農業を開始する場合、開業準備に専念している場合は失業手当は受給できません。しかし、例えば農業法人などへ就職も同時に検討している場合などは、就職活動をしていると認められ失業手当を受け取れる可能性があります。
また開業した場合、失業手当は受給できませんが再就職手当を受給できる場合もあります。
再就職手当とは、失業手当(基本手当)の支給残日数が所定給付日数 の 3 分の 1 以上残っている場合に、受け取れる手当で、早期の再就職を促進するための制度です。会社に勤めるだけでなく、自分で開業する場合でも一定の要件を満たせば受給できます。
再就職手当は、支給日数が3分の2以上残っていれば失業手当の80%、3分の1残っていれば失業手当の70%が再就職手当として受け取れます。
再就職手当を受給するポイントは下記の2点です。
- 開業は、待機期間(+自己都合の場合は給付制限1か月)の後であること。
- 事業の実態があり、安定性を証明することができること
開業届を提出しただけでは、再就職手当は受給できません。しっかりと事業の実態があり1年以上その事業を続けられると証明する必要があります。具体的には、就農証明書(営農証明書・農業従事証明書など)や農地を借りた場合には賃貸契約書(小作契約)等が必要です。(ハローワークに確認しましょう)
新規就農には補助金を活用しましょう
農業を始めたいと思っても経験がなければ、収益を上げることができません。しかも農業は作物を収穫できるまで収入を得ることができないだけでなく、設備投資にも多額の資金が必要になります。
そのため国、県、市町村などの自治体でもさまざまな支援を行っています。例えば49歳以下であれば、道府県農業大学校や先進農家などで研修を受ける場合、研修期間中に月12.5万円(年間最大150万円)を最長2年間交付する就農準備資金、新規就農される方に、農業経営を始めてから経営が安定するまでの最大3年間、月12.5万円(年間150万円)を交付する経営開始資金などがあります。
これから農業を始める!新規就農者・認定新規就農者向けの補助金とは
農業の補助金を探すには、農業補助金・助成金情報の検索ポータルサイトも活用してください。全国の補助金をキーワードや地域などで検索が可能です。
JAなどでも相談にのってくれるので、農業を始めたいと思われた方はまずは相談から始めましょう。
まとめ
農業収入がある場合の失業手当との関係性について説明しました。
個人事業主は失業手当の受給には一定の制限があります。実際の受給ではハローワークに相談し、収入を得ていない場合でも働いた場合には、申告する必要があります。虚偽の申告をして不正受給すると、全額返金だけでなく加算されたり、悪質の場合は刑事事件として告発されることもありますので注意しましょう。













