農業確定申告 損益通算できる所得とは

個人事業主の農家は、農業所得以外に収入がある場合は損益通算をすることで節税効果を得られる可能性があります。ここでは確定申告の損益通算について説明します。
損益通算とは
損益通算(そんえきつうさん)とは、2つ以上所得があり赤字の所得があれば黒字の所得からマイナスできる制度です。例えば兼業農家で給与収入と農業収入がある場合、農業所得が赤字であれば給与所得からマイナスすることができ、所得金額が下がるため所得税や住民税が軽減されます。
損益通算できる所得
しかし、すべての赤字の所得が、他の所得からマイナスできるわけではありません。不動産所得、事業所得(農業所得)、譲渡所得、山林所得が赤字の場合のみ、損益通算が可能です。
不動産所得や譲渡所得では生活に必要のない資産(別荘や貴金属、絵画等)に関する所得の赤字は認められないものもあります。詳細は国税庁の損益通算で確認してください。
それでは実際にどんな所得が対象になるのか説明していきます。
不動産所得
不動産所得は、土地や建物などを貸している場合の賃料などの所得です。農地を貸している場合の小作料収入も不動産収入です。
地主などでアパート経営や駐車場などの賃貸収入がある場合は、不動産収入が赤字、農業収入が赤字の場合のどちらでも損金通算が可能です。
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事業所得
事業所得とは、事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人の所得です。農業所得も事業所得の一部なので農業所得が赤字であれば、他の所得と損益通算が可能です。
農業所得以外にも、加工品を販売したり、観光農業やレストランなどで所得があれば事業所得となりますので、どちらが赤字の場合でも損益通算が可能です。
譲渡所得
譲渡所得は、土地、建物、株式等の資産を譲渡したときの所得です。個人事業主の農家の場合は、農業で使っているトラクターなどの農機具や軽トラックなどを売却した場合は譲渡所得で申告します。(一括償却資産は農業所得で申告)
売却した価格が、簿価(前年の期末価格)より安かった場合などでは譲渡所得がマイナスになるので、農業所得が黒字であれば損益通算が可能です。もちろん譲渡所得が黒字で農業所得が赤字の場合は、損益通算が可能です。
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※譲渡所得のうち株式等の所得については申告分離課税が適用されるため、損益通算対象外です。
山林所得
山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得です。農業と林業を営んでいる人などは、どちらの所得が赤字でも損益通算が可能です。
雑所得は損益通算できません
副業で農業を営んでいる場合、売上金額が少ない場合(収入300万円以下)には、農業所得として認められず雑所得として申告します。。農業として認められない場合は、損益通算が認められないので注意しましょう。
農業所得として認められるには一定の条件があります。農業所得と雑所得については下記の記事を参考にしてください。
その他損益通算できない代表的なもの
最近では副業の他にも、投資信託や株などを行っている人も増えていますが、株の売却で損が出た場合は他の所得と損益通算することはできません。ただ他の株式等や配当金の利益とは損益通算が可能です。
しかしNISAは他の株式等との損益通算は行えません。NISAは利益がでても非課税ですが、損がでても損益通算も行えません。
まとめ
農業所得が赤字のときは、他の所得からマイナスすることもできるので赤字でも申告すれば節税効果を得られることもあります。しかし確定申告しなければその恩恵は受けれれません。具体的な例もいくつかあげましたが、税法は複雑ですので損益通算できるかどうか不安な場合は、お近くの税務署に相談してみましょう。
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