新規就農者の青色申告 開始残高(期首残高)・開始仕訳とは?

新規就農者で青色申告を初年度から始める時には、開始仕訳が必要な場合があります。ここでは新規就農者のための開始残高・開始仕訳についてわかりやすく説明します。
新規就農者の開始残高(期首残高)・開始仕訳とは
開始残高とは、開業日時点の資産や負債のことです。
個人事業主の会計期間は期首が1月1日で期末が12月31日と決まっているため、そのため1月1日を開業日としている場合には、開始残高=期首残高となります。
(貸借対照表の期首の日付を開業日とする場合もあります)
事業継承などで農業を継いだ場合には、トラクターなどの農機具等や土地などの資産や、借入金などの負債が開業日時点である場合があるでしょう。これらのものがない場合でも、事業を始める際の預金口座にある程度のお金を入金している場合には、それも入力する必要があります。
それらの資産や負債などを貸借対照表に反映するために入力する仕訳を「開始仕訳」と呼びます。
開始残高の種類・仕訳
開始残高となる資産や負債について科目別に説明します。
現預金
勘定科目 | 残高の内容 |
|---|---|
現金 | 事業用に現金を持っている場合は開業日時点の残高 事業と分けていない場合0円 |
普通預金 | 農業用の普通預金口座の開業日時点の残高 |
事業用の口座がない場合を除き、開業時には普通預金の口座に売上が入るまでに必要な経費のために、自分のプライベートなお金から入金している場合は開始仕訳が必要です。
例)2月1日に開業。普通預金の残高が250,000円だった場合
2月1日の仕訳
借方 | 貸方 |
|---|---|
普通預金 250,000 | 元入金 250,000 |
減価償却資産
1台10万円以上の、「建物・構築物」「農機具等」「果樹・牛馬等」などの減価償却資産は、開業前に自分のお金で購入したのであれば開始残高として登録します。
取得価格が開始残高となります。1台10万円以上の資産はその年で一括で経費にはできないため、減価償却計算が必要です。減価償却費を計上できるのは開業した日(月)からになります。
事業以外で使っていた車などを、減価償却資産として登録する場合には、取得日から開業日までの減価償却費を計算して、未償却簿価の計算が必要です。
相続や事業継承などで、引き継いだ資産は引き継いだ時点の簿価の金額が開始残高となります。
例)2/1に開業 1月10日に軽トラックを120万円で購入した時の開始仕訳
借方 | 貸方 |
|---|---|
農機具等 1,200,000 | 元入金(事業主借)1,200,000 |
開業費(繰延資産)
開業費とは、事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出するコストです。税務上は「繰延資産」という資産にすることができ、60か月の均等償却又は任意償却が可能です。繰延資産にするかどうかは任意で、全額経費にしても問題ありません。
経費にする場合は、開業日に使った費用の勘定科目を使って経費に計上しましょう。
開業費にできる費用は、開業日までに支出した費用であることや、農機具等などは1台あたり10万円以下であること(10万円以上は減価償却資産に登録)、売上原価ではないことなどがあります。売上原価とは、農作物を栽培するのに直接的にかかった費用のことで、例えば肥料や農薬、苗などがそれにあたります。
開業費を繰延資産とする場合には、そのトータル金額が開始残高となります
>関連記事:農業確定申告 開業費と開業費の償却方法
開業にかかった合計が80,000円だった場合の開始仕訳
借方 | 貸方 |
|---|---|
開業日 80,000 | 元入金(事業主借) 80,000 |
借入金
開業前に借入金をした、相続や継承で借入金も引き継いだ場合には開業日時点の元金の残高が開始残高となります。
借入金の返済は元本は経費にはなりませんが、利息は経費となります。
今後は金融機関から発行されている借入返済表を見ながら仕訳を入力する必要があるので、大切に保管しておきましょう。
去年の11月末に500,000円借入した。 返済はまだしていない場合の2/1の開始仕訳
借方 | 貸方 |
|---|---|
元入金(事業主貸) 500,000 | 借入金 500,000 |
>関連記事:農家の確定申告 借入金の書き方は?経費になる?
元入金・事業主勘定とは
元入金(もといれきん)・事業主勘定(事業主貸・事業主借)とは、青色申告している個人事業主が使う勘定科目。
元入金は事業主が自分のお金を事業に投与した時に使われる科目で、法人の資本金に近しい性質を持った純資本の科目です。そのため開業時には、普通預金に自分のお金を入金した場合などに、普通預金の相手勘定に「元入金」が使われます。
対して事業主勘定は期中にプライベートなお金と事業のお金を分ける時に期中に使われる勘定科目、残高があった場合には翌年には相殺して元入金勘定に合算されます。そのため翌年の残高は基本的に0円となります。
元入金は法人の資本金と同じ純資産です。純資産とは資産から負債の金額を除いた金額で、その事業の現在の価値を示すためマイナスになることもあります。マイナスでも確定申告は問題なくできますが、マイナスの場合は「債務超過」であるとみなされ、借入の審査等が通らないなどのリスクがあります。
勘定科目 | 内容 | 使用例 |
|---|---|---|
元入金 | 事業の元手となるお金、その事業の純資産 | 開業資金として、普通預金に25万円 |
事業主貸 | 自分のプライベートなお金を事業のために使った場合 | 事業に必要な肥料を自分のクレジットカードで支払った |
事業主借 | 事業のお金を、プライベートな支出に使った場合 | 事業の普通預金の口座から、国民健康保険を支払った |
サイトなどでは元入金と事業主勘定どちらをつかってもよいとなっているのは、最終的な結果が同じになるためです。システムの運用上自自動仕訳に「事業主勘定」を使っている場合もあるので、あまりここに神経質になる必要はありません。
元入金は、開業時に使い、今後はプライベートなお金がからんだ取引には、事業主勘定を使うと覚えても問題ありません。ただし「事業主貸」と「事業主借」はどちらを使えばよいか混乱してしまうので、注意しましょう。反対の科目を使うと勘定科目がマイナスになります。
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※本サイトに掲載している情報は、一般的な解説を目的としたものであり、個別具体的な税務アドバイスや専門的な見解を提供するものではありません。
実際の税務申告では、税理士または管轄の税務署等に確認の上、ご自身の判断で行ってください。






