農業確定申告 少額減価償却資産の特例とは?一括償却資産と違いは

個人事業主の農家でも青色申告者であれば、少額減価償却資産の特例を使うことができます。ここでは少額減価償却資産の特例や一括償却資産との違いについて説明します。
少額減価償却資産の特例とは
少額減価償却の特例とは、通常取得価格10万円以上の資産は減価償却資産となり一度に経費に落とすことはできませんが、取得価格30万円未満までの減価償却資産を一括で取得した年の経費に計上できる税務の特例です。
特例が使える対象者
少額減価償却資産の特例は誰でも使えるわけではありません。
対象者は「青色申告を提出する個人事業主・中小企業者」です。
※中小企業者とは常時使用する従業員の数が500人以下(出資金等が1億円超の組合等は300名以下が対象)
対象資産と限度額
対象となるのは取得価格が30万円未満の減価償却資産です。ただし合計額が年間300万円まで(期の途中で就農した場合は月割り)
金額は消費税申告をしている課税事業者は、税込経理方式をしている場合は税込金額、税抜経理方式を使っている場合は、税抜き金額を使います。
消費税申告をしていない免税事業者は税込金額で判断します。
少額減価償却資産の特例を使うメリット
①減価償却費の計算が不要
即時に損金に落とせるので減価償却費の計算が不要です。
②取得年度の節税効果が高い
経費にできるトータル金額は変わりませんが、黒字であれば取得時に全額経費をすることで税金が安くなり、資金繰りがよくなります。
少額減価償却資産の特例を使うデメリット
①赤字の時には節税効果を得られない
所得が多いときには節税効果を得られますが、赤字もしくは所得が少ないのに経費を乗せることで赤字になってしまっては節税効果は得られません。
青色申告の場合は欠損金が繰越できるので翌年利益がでれば損になることは、なりませんがメリットは受けられないので無理に経理を多くする必要はありません。
②一括償却資産とは違い、償却資産税の対象となる
少額減価償却資産は、減価償却資産として減価償却をする必要はありませんが固定資産台帳で管理する必要があります。それは償却資産税の対象となるから。
償却資産税とは、毎年1月1日時点で保有している減価償却資産に対し課される税金で、課税標準額が150万円を超えると支払をする義務が発生します。
一括償却資産は、償却資産税の対象外になるので減価償却資産を多く持っている人は、取得価格20万円未満の場合は一括償却資産にしたほうがお得の場合があります。
一括償却資産との違い
一括償却資産とは、10万円以上20万円未満の減価償却資産を資産の種類にかかわらず、3年間で均等に経費にできる制度です。
これは白色申告でも使える制度で、経費を一括で経費にできるわけではありませんが、通常より短期間(3年)で経費にすることができます。
一括償却資産には上限はありません。また償却資産税の対象外となるので資産を多く持っている人にとっては、こちらの方がメリットを得られることもあります。
一括償却資産については下記で詳しく説明していますので、参考にしてください。
青色申告決算書への書き方
少額減価償却資産の仕訳
例)3月1日に乗用モア258,000円を購入した場合
借方 | 貸方 |
|---|---|
農機具 258,000 | 現預金 258,000 |
減価償却内訳書の書き方
少額減価償却資産の特例を受けるためには、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要とされています。
ただし、青色申告の減価償却資産の適要欄に「措法28の2」と記載することで、適用を受けることができるとされていますので、こちらを利用しましょう。
少額減価償却費が複数ある場合には、まとめて記入してもよいとされています。その場合は、合計額を記載し明細は別途保管し、その旨を減価償却資産の明細に記載する必要があります。

まとめ
農家は農機具等を購入することが多いので、手間をかけずに節税できる特例や制度をうまく使いましょう。
少額減価償却の特例の適用期限は、2026年3月31日まで。何度も延長が繰り返されているので延長する可能性がありますので、今後の税制改正にも注意しましょう。
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