農業確定申告 開業届の書き方と新規就農に必要な提出書類について

個人事業主の農業者は、実家の農家を継いだ場合でも税務署に開業届の提出が必要です。ここでは新規就農者のための開業届の書き方や、その他に必要な書類について説明します。
開業届について
まずは開業届とはどんなものなのか説明します。
開業届の必要な人とは
開業届の提出が必要な人は、国税庁のHPでは「新たに事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始等をした方」が対象と記載されています。
農家であれば、個人で自分で育てた農作物等を売って利益を得るなどの事業を開始した事業主が対象です。
新規就農者は、親元就農などで親が事業主の場合で、そこから給与をもらっている場合は開業届は不要です。ただし、実家の農業を継いだ場合には事業主が親から子へ移るため、「開業届」が必要です。
開業日とは
では開業日はいつにしたらよいのでしょうか。
開業日は国税庁の説明では事業を始めた日となっていますが、自分で任意できめることができます。
事業を継いだ場合であれば、前年までは親が事業主で今年から自分が事業主となる場合は、親の事業を12月31日に廃業させて1月1日から自分が開業すれば、減価償却資産の費用が全額経費にできます。
亡くなった親から事業を相続した場合は、相続を知った日(亡くなった日)が開業日となります。
一から農業を始めた人は、土地や農機具等を準備する期間もあるので、その場合は植え付け日や出荷日近くの日付を開業日としている人が多いようです。(事業開始前にかかった経費も開業費として経費にすることができます)
>関連記事:農業確定申告 開業費と開業費の償却方法
また新規就農者にはさまざまな補助金があります。補助金によって開業日に縛りがある場合があります。その場合は補助金制度で決められてた期間に開業する必要があるのでその点も、補助金申請をする機関に相談・確認してから提出するとよいでしょう。
>関連記事:これから農業を始める!新規就農者・認定新規就農者向けの補助金とは
開業届の提出期限
白色申告の場合
提出期限は、開業した翌年の3月15日(15日が土・日・祝日の時はその翌日)までです。
つまり確定申告の提出期限と同じなので、白色申告の場合は確定申告書と同時に提出でかまいません。
青色申告の場合
初年度から青色申告をする場合は、「所得税の青色申告承認申請書(PDF/617KB)」と一緒に提出する必要があるため、青色申告承認書の提出期限と一緒になります。
青色申告承認書は事前申請のため、開業日が1月1日~1月15日までであれば、その年の3月15日まで。1月16日以降は開業日から2か月以内です。
ただし、事業を相続した場合は相続開始を知った日(死亡した日)により提出期限が異なるので注意しましょう。
- その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
- その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
- その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日まで
>関連記事:農業確定申告 青色申告承認申請書の提出期限・書き方
開業届の書式・提出方法
開業届の書式は、国税庁のHPにある「個人事業の開業届出・廃業届出書」を使いましょう。用紙は最寄りの税務署でも手に入れることができます。
開業届の提出方法は下記の3つです。
- 記入したものを印刷して、管轄する税務署の窓口に持ち込む。
- 記入したものを印刷して、管轄する税務署に郵送する。
- e-Taxソフト(ダウンロード版)を使って電子で提出する。
国税庁のe-Taxソフト(ダウンロード版)は、パソコン、マイナンバーカードとカードリーダーが必要です。スマホで電子申請をしたい場合には、会計システムの会社から開業届のソフトを使って申請することもできます。無料ですので、一般的な開業であればこちらでも対応できます。ただし事業譲渡などの場合は記入欄がないのでその場合は電子申請はできませんので注意しましょう。
開業届の書き方

①税務署に提出する日を記入
②納税地(⑦で選んだ場所)の管轄する税務署を記入します。
「国税庁:税務署の所在地などを知りたい方」
③事業主のマイナンバーを記載(控えには不要)
④事業主の名前、住所、生年月日を記載
⑤職業は農業でもよい。迷った場合は日本標準産業分類の区分に合わせるとよいでしょう。
⑥屋号は記載しなくてもよい。農場の名前などがある場合には記入します。
⑦納税地は通常は「5」の住所地です。農場に事務所等がある場合には7の事業所を選びます。
⑧⑦で選んだ住所・電話番号を記入します
⑨開業の右に「1」を記入します。
⑩事業を譲渡された場合は、以前の事業主の名前と住所を記入します。譲渡でなければ空欄でOKです。
⑪所得の種類:事業(農業)所得にチェック
⑫開業日を記入
⑬青色申告をする場合は有にチェック、白色申告の場合は無にチェック
⑭消費税申告をする場合は有にチェック、しない場合は無にチェック(通常は無です)
⑮事業の概要は、主なものを具体的に記載します。
⑯給与を支払う人がいる場合には、記入が必要です。(いない場合は不要)
生計を一とする親族が、専任で事業を手伝う場合には専従者の従業員数欄に人数を記入しましょう。給与の定め方は、月給、日給、時給から選んで記入します。
税額の有無は、所得税を控除する従業員である場合は、有にチェックします。白色申告の場合専従者は税金を控除できないので無です。
⑰⑯で税額の有無で有となった場合には、源泉所得税は毎月給与を支払った月の翌月の10日に控除した税金を支払う必要があります。ただし納期の特例の届け出をした場合には6か月に1度の申告・納税にすることができます。納期の特例の書類を提出する場合には有を✓します。
⑱⑯の専従者・従業員に給与の支払いを開始する日を記入します。
その他の必要書類について
開業時には、必要に応じて税務署に提出が必要になります。特に青色申告を初年度から始める場合には書類の提出が遅れると、青色申告ができなくなるので注意しましょう。
青色申告をする場合
開業一年目から青色申告での申告をしたい場合には、「所得税の青色申告承認申請書」を開業から2か月以内に提出する必要があります。
>関連記事:農業確定申告 青色申告承認申請書の提出期限・書き方
専従者・従業員がいる場合
専従者とは、事業主と生計を同じくする家族や親族で、その年の12月31日現在で15歳以上であり、年間を通じて6か月を超える期間(原則)、その農業経営に専ら従事している人のことです。
>関連記事:農業確定申告 専従者控除とは対象者と計算方法
青色申告をする人は、専従者や従業員(アルバイト等含む)へ給与を支払う場合には、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」が必要です。白色申告の場合は、専従者のみであれば必要ありませんが、アルバイトなどに給与を支払う場合には必要です。
専従者や従業員が一定以上の所得がある場合には源泉徴収が必要です。徴収した源泉は原則翌月の10日までに申告・納付が必要です。ただし常時従業員が10人以下であれば、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、年2回の申告・納付とすることができます。源泉徴収が必要な専従者や従業員がいる場合には提出しておくと、今後の処理の手間が減ります。
>関連記事:農業の確定申告 雇人費とは?源泉徴収が必要な場合とは
区分 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
青色申告をする場合 | ー |
|
専従者がいる場合 | 専従者のみであれば提出書類はありません |
|
従業員がいる場合 |
|
|
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